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2011年6月号vol.407

今月のタイムス
MONTHLY SPECIAL

私立の『一貫教育』について知ろう
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私立の「一貫教育」について知ろう

全国に約700校あると言われている私立中学校ですが、その多くが中高一貫校です。中高一貫校とは、前期中等教育(中学校)と後期中等教育(高等学校)の教育課程を、6年間という枠組みの中で調整し、実践する学校のことです。独自の取り組みで生徒一人ひとりの力を伸ばしていくことを目標にしている一貫教育への関心はますます高まり、受験倍率10倍以上という人気校も出てきています。一貫校への進学を考えている家庭も、多いのではないでしょうか。
では、こうした学校ではどのような教育が進められているのか、入学するにはどうしたらいいのか、実際の学校の様子などを通して見ていきましょう。

一貫教育の特徴を知ろう

中高一貫校3つのタイプ

中高一貫校には、次の3つのタイプがあります。
@中等教育学校(同一学校型)…
一つの学校として6年間の教育を行う学校です。
教育課程は、中学校に当たる前期課程と、高等学校に当たる後期課程で構成されています。新設学校の場合をのぞき、通常は後期課程の募集は行われていないので、高校から入学することができません。
A併設型の中学校・高等学校…

同じ設置者が中学校と高等学校を設立して、接続するタイプの学校です。併設中学校からは無選抜(選抜試験を実施しない)で高等学校へと進学できます。また、高等学校へは外部からの編入学者も募集され、その際は選抜試験が行われます。
B連携型の中学校・高等学校…

多くは、既存の市町村立中学校と、都道府県立高等学校が、連携して教育を行っています。それぞれの教育課程をスムーズに接続できるようにしたり、中学校と高等学校の教員がチームティーチングを行ったりします。連携する高校への選抜では、面接や実技試験などが行われます。

多くの中高一貫校では、基本的に大学進学を前提として、カリキュラムが組まれています。そのため、5年次(高校2年次)までに教育課程をすべて終えてしまい、6年次からは受験対策に多くの時間が割かれます。中高一貫校の受験を考えているなら、大学進学を見据えて志望校を選ぶことをおすすめします。

私立中高一貫校の特徴

私立校の最大の特徴は、時間をかけて蓄積されたノウハウがあることです。6年間を一体化して考える中高一貫教育では、「まず6年間をかけて最初の卒業生を出し、その成果を検証して初めてノウハウが確立する」というのが、現場の教員の声です。公立中高一貫校の多くは、2006年の開校ラッシュで新設されました。新設の公立校は、ノウハウのある私立校に比べ、まだまだ手探り段階であると言えるでしょう。
また、教員の人事異動が頻繁にある公立校と違い、じっくりと中高一貫教育に取り組めるのも私立校の特徴。各教科の担当教員は、基本的に6年間持ち上がりで指導するため、カリキュラムが重複する心配はありません。他にも、行政によるしばりがない私立校では、独自の教育方針に基づき自由にカリキュラムを組むことができます。
ただし、私立校は公立校に比べ、学費の負担が大きい点が、デメリットとしてあげられます(ただし、学校によっては各自治体の補助金制度が利用できる場合もあります)。それぞれの家庭環境や子どもの個性に合った学校を選択するためにも、公立校と私立校をきちんと比較して検討することをおすすめします。

私立校の入試選抜

私立校を受験する場合、学校ごとに実施される学力試験を受けます。学校によっては、面接や実技試験などを行う場合もあります。難関校への入学を考える場合、小学4年生から塾に通って受験に備えるという家庭も多いようです。
では、首都圏と近畿地方の2つの地域には、どのような私立校があるのでしょうか。次のページから見ていきましょう。

首都圏編 渋谷教育学園渋谷中学高等学校

「自調自考」の精神

渋谷中学高等学校の基本目標は自調自考です。授業だけでなく、普段の生活でも自分で調べて、自分で考えることを実践。学校生活は、すべてこの考えに基づいています。ノーチャイムを実施し、生徒一人ひとりが腕時計で時間管理をしているのもその一例です。修学旅行や校外研修などの見学スケジュールも、生徒たち自らが考えて組み立てます。
  自調自考の精神は、6年間を3つのブロックに分けて、段階的に身に付けていけ1〜2年生)の「基礎基本」、Bブロック(中学3年生〜高校1年生)の「自己理解」、Cブロック(高校2〜3年生)の「自己実現」の3ブロックです。このブロックを軸に、それぞれの教科ごとに学習設計図「シラバス」が組まれています。このシラバスは生徒全員に配られ、一人ひとりが「今はどの段階にいるのか、これから何を学ぶのか」が把握できるようになっています。さらに、このシラバスはチャート式になっており、関連する単元同士が結ばれています。わからない単元があれば、関連する前の単元に戻って、自分で復習理解をすることができるようになっているのです。確かな土台の上で、生徒の自調自考の精神は育まれています。
授業は少人数制を採用。中学校3年間の主要5教科の授業時間数は2730時間で、一般的な公立校よりも805時間多くなっています(2011年3月現在)。これは、最終的な目標を難関大学への進学としているためです。同じクラス内で生徒間の能力に大きな差が出ないように、授業は丁寧に進められます。 

大学生も顔負けの自調自考論文

自調自考の集大成と言えるのが自調自考論文の作成です。高校生が、2年半という時間をかけて、自分が関心を持ったテーマについての論文を書きます。1万2000 字以上という大作です。2011年卒業生(第10期生)の作品を見ても、テーマの選択、資料の収集、論文の組み立て方に至るまで、大学生顔負けの素晴らしい論文ばかり。高校1年生から構想を練り始め、分野別のゼミに分かれ、高校2年生から具体的に作成を始めます。
「自調自考論文」優秀作品の研究テーマ
(第10期生)
・一人称単数代名詞「うち」の発信源はどこか
・ナンセンスギャグの定義とは〜ナンセンスギャグはなぜ好き嫌いが分かれるのか〜
・魂とは何なのか〜倫理と医学の交差点〜
・次にヒットするデザインは?
〜椅子から見る未来のデザイン〜
・ジェネリックのこれから〜厚生労働省が掲げる目標「2012年までにジェネリック医薬品のシェアを30%までに引き上げる」を達成できるのか〜
…等。
学校では、大学院で研究を行っている卒業生や外部講師を迎え、テーマの探し方や論文の書き方など、本格的な指導が行われます。そうはいっても、基本は生徒自身が能動的に動くこと。論文で取り上げたいテーマを決める時期や、本格的に作成を始める時期もバラバラです。そのため教員は、生徒一人ひとりのタイミングに合わせて、こまやかな指導を行っています。

国際的な視野が育つ環境

渋谷中学高等学校では、海外からの帰国生を積極的に受け入れています。帰国生は1学年におよそ20名。10名ずつを2クラスへ振り分け、この2クラスの英語の授業時間を同時に設定して、この時だけ帰国生と一般生徒が別れて授業を受けます。英語が「国語」感覚の帰国生に合わせた、無理のない授業が組まれているのです。英語の授業以外は、帰国生とそうでない生徒との区別がないため、普段の会話も、英語と日本語が同時に飛び交っています。帰国生と一緒に学校生活を送ることで、一般生徒は、体験者から直接海外の体験談を聞き、外国への関心を高めることができます。また、世界各国から留学生の受け入れも行っていると同時に高校1〜2年生には、アメリカ、イギリスへの短期もしくは長期留学の道も開かれています。1年間の長期留学をした高校生に対しては、1年間の留学で取得した単位を留学単位(卒業に必要な単位)として認定する制度も採用しています。
英語の授業は、ネイティブの外国人教員による少人数制です。また、中学3年生からは、希望者を対象に、第二外国語の課外授業も行われます。中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語などがあり、この授業を担当する教員も、すべてネイティブの外国人。興味を持った国について、より深く学ぶことができるチャンスとなっているようです。
海外の様子を実際に体験することができる海外研修は、中学3年生のオーストラリア研修、高校の希望者を対象にしたアメリカ、イギリス、シンガポール、ベトナム研修があります。異文化研究や語学研修などを通じて、生徒同士の交流を深め、国際理解へとつなげていきます。

生徒の「やりたい!」を応援する

現在、渋谷中学高等学校には、37もの部活動と同好会があり、活動も活発です。中には、生徒自身の希望によって設置されたものもあります。部活動も年間行事も、生徒からの「やりたい!」という声を、学校と教員が応援しているのです。
模擬国連同好会も、渋谷高等学校の生徒が模擬国連の日本代表に選ばれたことがきっかけで誕生しました。模擬国連とは、学生が国連加盟国の大使として、実際に国際社会で議論されている特定の議題について考え、話し合い、国際協力のシミュレーションを行う場です。日本では、高校生のための全国規模の模擬国連大会は「グローバル・クラスルーム」という名称で開催されています。英語力だけでなく、国際問題を担当国の政治や外交問題などと照らし合わせて考え決議案を作成し、賛成者や反対者と交渉し、さらに国連の手続規則などを駆使して採択へと導く力が必要となります。
2010年、渋谷高等学校の生徒2名が、日本代表10名のメンバーとして、高校模擬国連の国際大会に参加しました。この国際大会に「日本代表」として参加するためには、全日本大会で優秀な成績を収めなければなりません。渋谷高等学校の生徒は、2007年の第1回目の派遣以来、4年連続この代表団に選ばれるという快挙を成し遂げました。

確かな合格実績

少子化などの影響で、首都圏では、定員数を確保できない学校が年々増加していますが、渋谷中学への入学希望者数は例年安定しています。のびのびとした環境での教育と、教員によるこまやかな指導、そして自調自考の精神をベースとした取り組みが支持されているようです。
  また、国公立大学、有力私立大学への高い大学合格率を誇っていることも、この学校の人気の理由と言えるでしょう。2011年卒業生(第10期生)214名からは、東京大学の合格者2桁をはじめ、計78名もの国公立合格者を輩出(既卒生の合格者26名を含む)。また、ハーバード大学(1名)、スタンフォード大学(1名)などの、海外の有名大学への合格者も出しています。大学進学を前提にしている一貫校への入学を考えるなら、こうした大学合格者データも参考にしたいですね。

サンデーショック

東京都や神奈川県の私立中学校の大部分が、2月1日、2日、3日を入試日に定めています。東京都と神奈川県における私立学校間の協定で、帰国生の入試を除き、入試開始日を2月1日以降としているためです。さらに、難関校の入試日は、2月1日に集中します。
  しかし、2月1日が日曜日の場合、特にキリスト教系の学校(多くの場合は女子校)においては、日曜日の礼拝と重ならないように、翌2月2日に入試日を変更するといったことが起こります。この変更により、併願できる学校とできない学校の組み合わせが変わったり、各学校の競争率や偏差値などが変わったりして、入試状況が例年とは大きく変化します。これをサンデーショックと言います。例年の併願パターンや偏差値が通用しないので、結果どの学校にも合格できなかった、ということが起こる可能性があるのです。
  今後、2月1日が日曜日にあたる年は、2015年。またプチサンデーショックと呼ばれる、2月2日、3日が日曜日となる年は、2013年と2014年となります。この年に受験を控えている皆さんは、併願パターンなどに注意して志望校を選びましょう。

近畿編 関西大学第一中学・高等学校

「中高大」の一貫教育

関西大学第一中学・高等学校は、関西の有力私立大学である関西大学が併設する学校です。受験に振り回されない落ちついた環境の中で、大学または大学院までの進路を見据えた教育プログラムが組まれています。
  第一中学校へ入学するためには、学力試験(算数、国語、社会科、理科の4教科)と面接試験を受ける必要があります。入試は2日間に分けて行われます。第一中学校から第一高等学校への進学は、中学3年間の成績をもとにした推薦方式を採用。他の中学からの募集もあり、5教科の学力試験と、中学3年間の成績を合わせて合否が判断されます。そして、最大の特徴は、第一高等学校から関西大学へ進学するための特別入試制度です。高校3年間の成績と生活状況、そして高校3年生で実施される3回の外部テストの成績をもとにして、学部ごとに入学者を決定します。
  「中高大」と一貫した教育、進学システムを採用することで、受験競争に対する負担が減ります。これによって、学習面、学校生活面でより充実したプログラムの実施が可能となります。

多彩な教育プログラム

第一中学校では、生徒のやる気を引き出して伸ばし、それを応援する姿勢を基本に教育方針が組まれています。生徒の能力や個性に合わせて、教員による補習や個別指導などが行われているのも、ゆとりのある一貫校ならではの特徴と言えそうです。
全学年ともに土曜日も通常の授業を実施しているため、教科ごとに学習を深めることができます。
また、各教科のカリキュラム以外にも、1年生で「仲間作り・感性の涵養(*)」を目標とした学習を、2〜3年生で環境学習・平和人権学習を行っています。「大和川の浄化について」(中学2年生)や「能勢農業体験プログラム」(中学3年生)、美術鑑賞会やテーブルマナー講習会など、3年間で様々な体験学習の機会が用意されています。さらに、反復学習や読み書き、考えることなどといった基礎学力を身に付けることにも重点が置かれており、三大検定(実用英語技能検定、日本漢字能力検定、実用数学技能検定)は、全校生徒が受検しています。
第一高等学校では、高校2年次よりコース制を採用。関西大学の文系学部を目指す文Tコース、国立大学を目指す文Uコース、関西大学の理工系学部や国立大学の理系学部への進学を目指す理コースの3コースに分かれて授業が行われています。大学進学を目標に、基礎学力に重点を置いた効率的な授業により、国立大学を目指す生徒でも、部活動との両立が可能となっているようです。
*涵養…自然に水がしみこんでいくように、徐々に育てること。

国際理解を深めるために

もはや国際人となるための学習は、必須であると言っても過言ではありません。第一中学校では3年生を対象に、第一高等学校では1年生と2年生を対象に、海外での英語研修を実施しています。5月より事前学習会が始まり、7〜8月の約2週間で研修を実施。ネイティブスピーカーとの会話を通じて、英語への自信や学習意欲を養うだけでなく、日本以外の国へ関心を持ち、文化や習慣の違いを学ぶことで、国際感覚を身に付ける、いいきっかけに。
研修後は事後学習会もあり、生徒たちは、さらに英語への興味を高めているようです。

近畿の私立中学入試

2006年、近畿2府4県(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)の私立中学の入試解禁日が統一されました。志願者獲得競争を公平に行うことで、特に大阪府の私立学校は、志願者減少に歯止めがかかったと言われています。「短期間でいかに優秀な生徒を集められるか」に学校側が注目しているため、有力校を除き、例年解禁日初日に受験日が集中します。さらに、優秀な受験者を確保するため、2011年度入試より、大阪府においても午後入試を導入した中学校が登場しました。
これにより、1日2校の受験が可能となりました。志望校の併願パターンをしっかり考えて、受験に挑む必要があるでしょう。併願校選びを戦略的に考えることが、受験成功のカギとなりそうです。
  また、関西圏では、灘中学校や甲陽学院中学などの有力校が、受験科目から社会科をはずした3教科制を採用しているため、他の学校でも、算数、国語、理科の3教科を受験科目とするパターンが増えているようです。


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