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2011年6月号vol.407

今月のタイムス
MONTHLY SPECIAL

私立の『一貫教育』について知ろう
どこが違うの?世界の教育事情
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どこが違うの?
世界の教育事情

2009年度より移行措置が始まっている日本の新学習指導要領。
小学校ではすでに新学習指導要領にそった授業が進められていますね。中学校の完全実施は2012年度からです。
学力低下に歯止めをかけるため、従来の「ゆとり教育」を見直した日本の新しい学習内容。では、世界ではどのような教育制度が実施され、世界の子どもたちはどのように学習を進めているのでしょうか。アメリカや、学力の高さが注目されているフィンランドなど、いくつかの国の教育事情と比べてみましょう。

日本と世界の学力

学力の低下が懸念されている日本ですが、世界の国々と比較して、それほど落ち込んでいるわけではありません。
OECD(経済協力開発機構)が実施する*PISAの2009年の調査結果では(P 11・図)、参加した65の国と地域中、日本は読解力8位、数学的リテラシー(活用力)9位、科学的リテラシー5位と、いずれも上位に入っています。日本人の学力低下が問題視されたのは、2000年のPISA調査で読解力8位、数学的リテラシー1位、科学的リテラシー2位だった日本が、2006年ではそれぞれ15位、10位、6位にまで落ち込んだのが理由です。ですから、日本人の学力は、世界の水準を下回っているわけではないのです。
そして注目すべきは、アジアの国々の学力が、PISA調査結果で上位にきていることです。2009年から参加の上海は、3分野すべてにおいて1位を獲得 。中国と同じく、厳しい受験競争で有名な韓国も、読解力と数学的リテラシーの2分野で日本を抜いています。また、世界一の教育制度と言われている北欧のフィンランドも、日本を上回る結果となっています。
国によって学力に差が出ている現状。では、日本と世界の国々の教育環境は、どういう点が違うのでしょうか。
*PISA…Programme for International Student Assessment(学習到達度調査)。義務教育修了段階の15歳を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決能力の4項目について調査する。2000年から3年ごとに実施。

アメリカとイギリスの教育

世界の共通言語である英語を主な言語としているアメリカには、実は全国共通の教育制度がありません。
教育は各州や地方自治体にすべてゆだねられていて、学校区(市ごとに構成されている教育地域。いくつかの市で構成される場合もある)によってかなり異なります。
教育費の額も学校区によって違うので、財政の豊かな学校区の生徒と、そうでない学校区の生徒では、一人当たりの公的な教育費に差があります。義務教育の期間も州によって違います
7〜16歳とする州が最も多く、続いて多いのが6〜16歳とする州です。中には6〜18歳を義務教育期間として定めるところもあります。また、日本と同じく小学校6年、中学校3年、高校3年とする学校区もあれば、プライマリースクール6年、セカンダリースクール6年とする学校区などもあり、一概に「これがアメリカの教育制度だ」と言えるものはありません。個人の能力や希望が最重要視されていて、成績優秀者が義務教育期間の修了を待たずに、高等教育(大学など)に進む飛び級も、広く行われています。
同じく英語を主な言語とするイギリスの義務教育は、プライマリースクール(5〜11歳)とセカンダリースクール(11〜16歳)です。14歳からは、ナショナルカリキュラムである数学、化学、国語(英語)以外は、好きな教科を選んで授業を受けることができます。
イギリスには卒業という考え方がなく、大学入学を目指す生徒は、義務教育修了後、GCSE(General Certificate of Secondary Education)という全国統一試験を受けなければなりません。試験結果はA〜Gのグレードで評価されます。これをもとに大学へ進むかどうかを定め、さらにAレベルという2年間の受験コースに進みます。そしてAレベルの試験結果を、希望する大学に提出して、合否の判定を受けるのです。
また、イギリスの学校では、生徒同士の意見交換を中心に授業が進められます。授業科目もバラエティ豊かで、環境学や演劇、ダンスなどを設けている学校もあるようです。また、積極的に教育改革が進められていて、大学進学率の向上を目指すだけでなく、英語以外の言語をセカンダリースクールの科目に取り入れるなどしています。

教育先進国フィンランド

世界から注目されているフィンランドの義務教育は、7〜16歳までの9年間で、小学校6年間、中学校3年間の一貫教育になっています。
  高い学力を誇っているフィンランドですが、詰め込み教育などは一切行われておらず、なんと、義務教育の最終年である中学3年生まで、成績表がありません。成績に左右されず、生徒たちはのびのびと学んでいます。ですが、放任主義というわけではなく、授業の理解が足りない生徒への教師のフォローは徹底しています。1クラス16〜25人の少人数制で、勉強についていけない生徒がいれば、一時的に2〜5人のグループをつくって、週1〜3回ほど学校に常駐している特別支援講師が補習をするようにしています。
語学に関しては、ほとんどの生徒が小学校3年生で英語を学び始めます。公用語であるスウェーデン語の授業が始まるのは中学校1年生からです。さらに、高校2年生では、ドイツ語、フランス語、ロシア語などが外国語の選択科目として登場します。そのためフィンランド国民のほとんどが3か国語を話せるといいます。
そして、フィンランドにおける教育の最大の特徴は、小学校から大学までの授業料がすべて無料だという点です。高校までは入学金や授業料だけでなく、教科書、ノート、筆記用具、給食、通学費などのあらゆる教育費が無料。さらに、大学生の一人暮らしにかかる生活費や学費への手当も与えられます。「生徒が満足する学校生活」を第一に考えるのが、フィンランドの教育の在り方なのです。

職業教育に力を注ぐフランスとドイツ

文部科学省による「教育指標の国際比較(2011年度版)」によると、2008年の高等教育(大学など)への進学率は、フランス約40%、ドイツ40.1%と、どちらも50%を下回っています。フランスの教育制度は、5年間の初等教育、4年間の前期中等教育(コレージュ)、3年間の後期中等教育(リセ)に分かれています。義務教育はリセの1年目までで、6〜16歳までの10年間です。生徒たちはコレージュでの学力や進路指導により、普通教育や技術教育を行うリセか、就職希望者を対象とした職業リセに振り分けられます。2年間の職業リセの課程を修了し国家試験を受けると、「職業適格証(CAP)」と「職業教育免状(BEP)」が取得できます。また製造業やサービス産業など様々な職業資格につながる専門的な国家免状「職業バカロレア」を受けるためには、2年間の職業リセの後、さらに2年間の課程が必要になります。日本の専門学校のようなものを、国が請け負っているわけです。若者の高い失業率が続いているフランスでは、職業教育の教科が重要な教育政策の一つとされています。ちなみに、大学などへ進学するには「普通バカロレア」という国家資格が必要です。
ドイツの学校制度は州によって異なりますが、義務教育の期間は6〜18歳までの12年間です。4年間の基礎学校での教育を経て、ギムナジウム、実科学校(レアルシューレ)、基幹学校(ハウプトシューレ)、これらを合わせた総合制学校(ゲザムシューレ)にそれぞれ分かれて就学します。大学に進学するためにはギムナジウムか総合制学校の上級段階を卒業し、アビトゥア(大学入学資格試験)に合格しなければなりません。
実科学校に進んだ場合は、職業学校や専門学校へ進み、事務職に就職します。基幹学校へ進んだ場合は、さらに職業学校へと進み、職人や工員になります。それぞれの学校へ進んだ後の2年間はオリエンテーションと呼ばれ、この後に一度進路の見直しが行われますが、ドイツの若者のほとんどは、早い段階から将来の道が定められます

受験競争が激化する中国と韓国

中国の義務教育は、日本と同じ9年間です。小学校6年間、初級中学校3年間、高級中学校3年間で、大学(中国語では「高校」)への進学時には、全国大学統一試験が行われます。学歴重視社会のため、受験競争は非常に厳しく、生徒たちは寸暇を惜しんで勉強します
中国は、めざましい経済成長とともに、教育も大きく発展してきました。しかし、その反面、都市部と農村部での教育格差や、沿岸部と内陸部での教育格差が問題となっています。これは経済格差に比例していて、塾や習い事で忙しい富裕層の子どもがいる一方で、家が貧しく義務教育すらまともに受けられない貧困層の子どもがいるといった状況を生みだしているのです。2009年のPISA調査の結果で、都市部の上海は3分野で1位となり、同じく香港も上位でした。しかし、こうした地域格差についても知っておきたいところです。
同じく受験競争が激しい韓国。2009年の大学・専門学校への進学率は、なんと93.9%を占めています(文部科学省「教育指標の国際比較(2011年度版)」より)。
進学を希望する高校生のほとんどが、学校の補習授業に参加したり、塾などに通ったりしていて、夜遅くまで勉強をします。大学へ進学するためには、大学能力修学試験を受ける必要があります。この結果と、高校が発行する生活記録簿、各大学が用意する2次試験の結果を合わせて、合否判定を受けるのが一般的です。
極端な学歴社会である韓国では、子どもたちは小さい頃から自由時間を犠牲にして勉強をしています。1回の試験で人生が左右されるため、近年、携帯電話を使った大規模なカンニングが発生して問題になりました。過酷な受験戦争を戦う受験生の不規則な生活も深刻な問題で、彼らの負担軽減の必要性が叫ばれています。


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